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そらいろの利用者Sさんについて、介護と看取りケア

一切経山
ふるさとの山の一つ、一切経山に登ってきました。そらいろに毎日来ていたSさんの冥福を祈るためです。
一切経山2
Sさんは土曜日の朝方、息を引きとりました。
大変なSさんだったけど、私を含めスタッフにとっても忘れられないケアの毎日だったのを思い出します。
五月初め、地域包括とケアマネさんから、とにかくエライお爺さんがいるんで、なんとかデイに引っ張り出して欲しいと依頼がありました。
さっそく自宅に行ってみると、ホントにエライことになっていました。
ケアマネジャーいらすとや
Sさんは、5年前に前立腺癌全摘。尿カテーテル留置です。当然、カテーテルの先についているはずの尿パックが無い!
尿パックが無ければ、垂れ流し状態になります。衣服はビシャビシャ、炬燵周りもビシャビシャ。激しい尿臭がしていました。
1、2年ほど引きこもり状態となり、この間に認知症も進み、親族たちとも断絶状態となっていました。
朝、お迎えに行くと、昨日、装着した尿パックがハサミで切られていたこともありました。
そんなSさんが、毎日お風呂に入って、食事をして、みんなと話しをして笑う。当たり前の生活を送ることで、次第に表情が柔らかくなり、穏やかになりました。
介護いらすとや
食う寝る飲む出す入る笑う、と言う当たり前の生活を再構築していくことが、認知症薬を飲むことよりもどれほどお年寄りの生き生きにつながるのかをSさんは、私たちに教えてくれました。
そんなSさんが9月の初め、血尿と熱発で救急搬送となり入院しました。一週間ほどで帰ってくる予定でしたが、状態が回復せず、検査の結果、癌の転移が判明。余命数週間程度と宣告されました。
病院の地域連携室とカンファレンスを開き、最終的には本人の帰りたい、そらいろに行きたい、と言う思いを叶えることになりました。
とはいえ、そらいろは通所介護です。夜間の介護体制はありません。そこでそらいろから歩いて5分ほどのところにあるホームホスピスほしぞらさんと介護連携を図ることになりました。
つまり、日中はそらいろで過ごし、夜間はほしぞらさんでケアをする、ということです。
食事介護いらすとや
こうしてSさんの介護と看取りケアの連携が始まりました。
後どれくらいSさんの命があるのか? 退院翌日にはバイタルが安定しているのを見計らって、大好きだったそらいろのお風呂に入りました。ギリギリの状態で素早く上がってきたけど、少し危なかった!
後で看取りケアをやっているほしぞらの看護師からは叱られましたけど、結果的これがSさんの最後のお風呂になりました。
そして退院から9日目の土曜日の朝方、ほしぞらさんで息を引きとりました。
死顔は今まで見たこともないぐらい、穏やかな表情でした。
「俺は今まで博打に酒、女はダメだったけど、好き勝手やってきた。そんな俺がこの歳になって、そらいろで極楽みたいな生活を送っていいんだべが」と言っていたSさん。
黙々と山を登りながら、今度は天国で極楽な生活を送ってほしい。
そうSさんに語りかけていました。